窒素ガス発生装置は圧縮空気から窒素を分離して現場で供給する装置であり、食品・製薬・半導体・化学・金属加工・物流倉庫など幅広い業界で活用が進んでいます。これらの業界では、製品の酸化防止や品質保持、安全性の確保、生産効率の向上、コスト削減、省エネルギー化といった様々な導入ニーズがあります。
窒素ガス発生装置を導入することで、以下のようなメリットが得られるため、多くの企業が採用を検討しています。
上述のようなメリットから、日本国内では多くの企業が窒素ガス発生装置の導入に踏み切っています。国内で消費される産業用窒素ガスのうち化学業界が約36.1%、電子・半導体など電気関係が29.9%、食品分野が5.4%を占めるなど、各業界で広く利用されているという調査データ(※)もあります。
食品製造の現場では、窒素ガスは鮮度保持と酸化防止になくてはならない存在です。食品を空気中の酸素に触れさせないよう、包装時に窒素で充填(ガス置換包装)することで、酸化による風味劣化や変色、カビ・細菌の増殖を防ぎます。実際、スナック菓子やコーヒー豆、お茶などのパッケージ内部は窒素充填が一般化しており、製品の賞味期限延長に大きく寄与しています。
チルド食品や惣菜、日本酒などでも窒素封入による品質保持の効果が活かされており、食品メーカー各社がボンベから自家発生装置への切替を進めています。
参照元:「ガス置換包装と微生物増殖の防止:食品の安全性と品質保持のために」(東京海洋大学名誉教授 木村凡)
URL:https://foodmicrob.com/modified-gas-atmosphere-pachkaging/
食品業界での窒素活用は、製品の寿命を延ばすだけでなく、ブランドイメージ向上にもつながっています。
消費者は「新鮮さ」や「高品質」を求めており、窒素封入パッケージの商品はそうした期待に応えるものです。
ある菓子メーカー(S社)では、主力商品のスナック菓子がヒットし、生産ラインをフル稼働して増産する中で窒素ガスの需要が急増しました。従来はボンベ調達で対応していましたが、置場が手狭になり、遠方に保管したボンベをその都度運搬する非効率な状況に陥りました。この運用は手間がかかるだけでなく、安全面でも不安があり、交換時には生産ラインを停止せざるを得ないためロスも発生していました。
そこで工場内に窒素ガス発生装置(日立産機システム「N2パック」)を導入し、現場で必要量の窒素を随時供給できる体制に切り替えました。その結果、窒素ガス不足やボンベ交換によるライン停止の問題が解消し、需要増にも混乱なく対応できる効率的な製造ラインを実現しました。いつでも工場内で必要な窒素を生産できる安心感により、生産現場の負担軽減と安全性向上にもつながっています。
参照元:「N2パック導入事例紹介 菓子製造業編」(株式会社日立産機システム)
URL:https://www.hitachi-ies.co.jp/products/n2pack/case/201904_01.html
食品分野では、飲料やアルコール類の製造・充填でも窒素ガスが活躍しています。例えば、石川県のクラフトビール醸造所「オリエンタルブルーイング」では、ビールタンク内の酸化を防ぐ目的で窒素ガス発生装置を導入しました。ビールは酸素に触れると風味が損なわれやすいため、タンク内や瓶・缶充填時に窒素で空間をパージ(置換)し酸素濃度を下げています。その結果、ビールの鮮度維持と品質安定に寄与するとともに、従来は外部調達していた窒素ボンベを使わずに済むためコスト削減効果も得ています。
クラフトビール醸造所に導入された窒素ガス発生装置の一例(酸化防止目的)では、装置内部で圧縮空気から窒素を高純度で生成し、必要なポイントへ随時供給できます。ボンベや液体窒素の購入に頼らず自給できるため、ボンベ交換の手間や保管スペースの削減、安全性向上にも寄与しています。
日本酒の蔵元やワイン醸造でも、貯蔵タンク上部の空間を窒素でシールして酸化を防ぐ取り組みが行われており、製品本来の風味を守る上で窒素ガスは重要な役割を果たしています。
参照元:「窒素ガス発生装置と防音パッケージコンプレッサー導入事例」(サンエイエアー)
URL:https://sanei-air.jp/contents/5027/
窒素ガス発生装置の導入は、品質面だけでなく作業効率の面でも食品工場にメリットをもたらします。ある食品メーカーでは、包装工程で窒素ガス発生装置(コフロック社製「GENE-BASEシリーズ」)を導入しました。この装置は包装工程に必要な窒素ガスを生成し、副次的に発生する圧縮空気を清掃用エアガンに転用することでエネルギーを無駄なく活用しています。
また、入出荷エリアに設置していた装置を工場屋上に移設することで、入出荷スペースを拡張できるレイアウト改善にも成功しました。窒素自給化によるボンベ置き場スペースの削減と、省スペース型装置の活用による作業効率向上は、大きな副次効果と言えるでしょう。
参照元:「屋外型 窒素ガス発生装置 GENE-BASE Series(NECP)」(コフロック株式会社)
URL:https://www.kofloc.co.jp/product/product-1893/
また、食品業界の導入事例について詳しくは以下のページで詳しく解説しています。
製薬業界では、製品の品質保持と安全性確保のために窒素ガスが広く利用されています。医薬品の有効成分や錠剤・注射剤などは酸素や湿度に敏感なものが多く、窒素で雰囲気を不活性化することで分解・酸化を防ぎ品質を安定させます。
例えば、バイアル瓶やアンプルに医薬品を充填する際、ヘッドスペースに窒素を置換充填して酸素を追い出す手法が一般的です。これにより製剤の劣化を防ぎ、製品の有効期限を延ばす効果があります。また、錠剤のPTP包装内に窒素を封入することで、有効成分の酸化を防止する事例もあります。
製薬工場の生産プロセスにおいても窒素は重要な役割を果たしています。可燃性の有機溶媒を大量に使用する製造工程では、反応容器や貯蔵タンクを窒素パージし、火災・爆発リスクを低減しています。また、凍結乾燥機(フリーズドライ)の真空破壊時にも高純度窒素が使用され、製品を酸素に晒さず安全に取り出すことが可能です。
さらに、ガスクロマトグラフィー(GC)などの分析装置のキャリアガスとしても高純度窒素が使用されており、小型の窒素発生装置が研究所や品質管理部門に設置されています。
半導体製造をはじめとする電子デバイス産業では、窒素ガスは製造プロセスのあらゆる段階で不可欠な存在です。窒素は不活性で極めてクリーンなガスであるため、微細な回路を作り込む半導体工程では、酸素や水分を排除した雰囲気を維持する目的で大量に使用されます。
例えば、エア・ウォーター・メカトロニクスは、半導体製造向けのガス精製装置を提供しており、これらの装置は材料ガスや不活性ガスを超高純度に精製し製造工程の品質向上に貢献していると言えるでしょう。
参照元:エア・ウォーター・メカトロニクス 半導体製造プロセス用ガス精製装置の新棟工場が稼働 ~半導体メーカーの生産増強と製造設備の大型化に対応~(エア・ウォーター株式会社)
URL:https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news-00097634982254089567.html
電子・半導体業界では、工場敷地内に大型の空気分離装置(ASU)を設置してパイプライン供給する例もあれば、中小規模の生産拠点ではPSA方式の窒素ガス発生装置を導入し、自家発生によるコスト削減と安定供給を図る事例も多く見られます。
化学工業の分野では、原料や生成物の品質維持および安全確保のために窒素ガスが広範囲に利用されています。可燃性物質や揮発性溶剤を大量に扱う化学プラントでは、設備の防爆対策としてタンクや反応器への窒素パージ(窒素封入)が不可欠です。
例えば、溶剤やモノマーを貯蔵するタンクでは、ヘッドスペースに常時窒素を封入して酸素濃度を5%以下に制御し、燃焼のリスクを低減します。このプロセスはタンクシーリングとも呼ばれ、万一の火災リスクを大幅に下げるため、危険物規制の遵守にも貢献します。
また、製品の長期保存を目的に、ドラム缶やボンベ内に少量の窒素ガスを封入して酸素との接触を遮断する手法も一般的です。これにより、塗料、接着剤、感光性樹脂などの変質・劣化を防止できます。
さらに、化学プラントでは、プラントの定期点検後の立ち上げ時に配管や装置内部を窒素パージして安全を確保したり、溶剤置換時に不要な残留ガスを除去する用途でも窒素が活用されています。
参照元:「化学物質を取り扱うプラントの安全化」(日本安全工学会)
URL:https://www.jsnm.or.jp/news/files/2015/03/9ed733f5056a3ae4a9d5126f7a06368f.pdf
化学業界では、窒素ガスの安定供給体制を整えることが生産性向上と安全性確保の両面において極めて重要視されています。自社内で窒素ガスを発生させることで、外部供給に依存しない安定的な運用体制を構築する企業が増えています。
金属加工分野でも窒素ガス発生装置の導入ニーズは高まっています。金属の切断・加工や熱処理のプロセスで窒素を利用することで、加工品質の向上や生産性向上、そしてコスト削減が期待できるためです。
物流倉庫や貯蔵施設でも、窒素ガスの活用ニーズが見られます。大きく分けて、生鮮品の鮮度保持と火災予防対策の二つの用途が挙げられます。
農産物や生鮮食品を長期間保管する大型冷蔵倉庫では、窒素ガスを使った「CA貯蔵 (Controlled Atmosphere貯蔵)」技術が導入されることがあります。
気密性の高い倉庫内の空気組成を人工的に調整し、酸素濃度を通常の約21%から2~5%程度に低下、二酸化炭素を高めた雰囲気にすることで野菜や果物の呼吸を抑制します。低酸素・高CO₂環境下では鮮度保持効果が飛躍的に高まり、通常の冷蔵保存と比べて倍近い期間の鮮度維持が可能になります。例えばリンゴなど季節性の果実も、この手法により収穫から数ヶ月後でも市場に供給できるようになり、農産物流通を支える重要な技術となっています。CA貯蔵には窒素ガス発生装置による継続的な窒素供給が不可欠であり、倉庫内の酸素濃度センサーと連動して自動制御されます。食品系の物流センターや青果市場の低温倉庫で、こうした設備を導入するケースが増えています。
大規模な自動倉庫や貴重品を保管する文書・美術品倉庫などでは、火災リスクを低減するために酸素濃度を制御する防火システムの導入が検討されています。これは、人が常駐しない倉庫内に窒素ガスを微量ずつ追加供給し、平常時から酸素濃度を燃焼が継続できない水準(おおむね13%前後)まで低下させておく方式です。通常、物質が燃え続けるには15%以上の酸素が必要ですが、酸素濃度を12.5%程度まで下げると燃焼そのものが起こらなくなります。能美防災株式会社の「NN100」といった窒素ガス消火システムでは、この原理を応用して火種の段階で燃焼を抑制し、大規模火災の発生を未然に防ぐ試みがなされています。実際の適用例としては、サーバールームや美術品収蔵庫など人が普段立ち入らない空間での採用実績がありますが、物流倉庫でも高価値商品を無人で保管するエリアなどに限定して導入する計画が聞かれます。窒素ガス発生装置により広い倉庫空間へ大量の窒素を安定供給できることが、このような新しい防火ソリューションの前提となっています。
以上のように、物流・保管分野でも窒素ガス発生装置は鮮度管理や防災対策の要として期待されています。特に食品系倉庫でのCA貯蔵は、昨今のフードロス削減や安定供給ニーズから注目され、設備をパッケージで提供する企業も登場しています。また、巨大物流倉庫で相次いだ火災事故を教訓に、酸素低減による次世代の安全倉庫コンセプトが提唱されつつあり、その実現にも窒素ガス発生技術が貢献していくでしょう。
業界に絡んだ大きな目的や用途だけでなく現場のニーズに即したリアルなニーズに対して対応している窒素ガス発生装置のメーカーを調査しています。
詳しくは以下の詳細ページを確認してみてください。
従来のシステムから新しいシステムに変更するのに不安がある場合、レンタルなどで事前に確認できるサービスは安心感があります。ここでは、窒素ガス発生装置のレンタル・リースサービスを提供しているメーカー3社を紹介しています。
窒素ガス発生装置の
レンタル・リースのあるメーカー
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用途や設置スペースに合わせて選べるように、窒素ガス発生装置には小型から大型までサイズが豊富。ただし、メーカーによって取扱いサイズは異なります。ここでは、小型の窒素ガス発生装置を提供しているメーカー8社を紹介しています。
小型の窒素ガス発生装置の
取り扱いのあるメーカー
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窒素ガス発生装置はPSA方式・膜式・深冷式と3つのタイプに分けられ、メーカーによって対応タイプが異なります。ここでは、PSA方式の窒素ガス発生装置を取り扱っているメーカー7社をご紹介しています。
PSA方式の窒素ガス発生装置の
取り扱いのあるメーカー
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コフロック株式会社は、業界初となる屋外型ガス発生装置「GENE-BASEシリーズ」を開発。設置場所の制約を克服し、市場開拓を実現しました。
高温環境下でも連続稼働でき、騒音も抑制。屋外設置の自由度を高め、コスト削減・脱炭素ニーズにも応えています。
また、北越工業との異業種連携により、熱対策と静音性を両立した新構造「5BOX」を考案。これにより従来導入を断念していた顧客層から支持を獲得し、販売間口を拡大しています。
食品、電子、プラント、陸上養殖など幅広い分野への展開を進め、持続的成長を目指しています。
▼右にスクロールできます。
| 商品例 | 商品画像 | 特徴部分 |
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【食品】 |
引用元:アネスト岩田公式HP:(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/nitrogen-generators/nitrogen-generators/np) |
食品の鮮度を保持するための包装用ガスに
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【半導体】 |
引用元:住友精化公式HP[PDF](https://www.sumitomoseika.co.jp/_assets/dl/product/gas/engineering/002.pdf) |
薄膜の形成や化学反応のサポートをするガスに
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【薬品・化学品】 |
引用元:コフロック公式HP(https://www.kofloc.co.jp/product/product-2192/) |
薬品の梱包や不純物を取り除く研究用のガスに
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